平成17年 9月 定例会(代表質問)

創政クラブ議員団 代表質問 池田 正義

質問1. 舞鶴市の将来展望について

 今般、江守市長が議案説明の冒頭で「舞鶴市の将来展望と今後の重点施策」についての所信をのべられました。その内容は、急激な人口減少が舞鶴市の存亡にかかる大きな危機であり、私たちの「ふるさと舞鶴」に将来的に市民が住み続け、永続的な「まちづくり活動」が引き続き展開していくために、今から重点施策を明確にした上で種まき事業に取り組んでいくとの強い意思表明だと受け止めています。全国的に見ても、若い世代が多く住む都市部を除く地域では、人口に占める高齢者比率が高く、死亡者数が出生者数を上回っている状況です。さらに、団塊の世代が定年を迎え、いわいる「2007年問題」から社会の支えてとなる労働者人口も減少すると見込まれている。人口減少が社会問題として大きくクローズアップされる中で、私も同様に将来の舞鶴市に対する危機感をもっている。この度、示された重点施策の推進に期待をするが、「働く場」の創出と「まちの魅力づくり」についての具体策を伺う。

市長

 国立社会保障・人口問題研究所からは、25年後の2030年には舞鶴市の人口が約8万人にまで減少するという推計値が出される中で、私は心の底からわたしたちのまち舞鶴の危機を感じ、これから積極的にこの問題に取り組んでいく決心をしたところであります。「働く場の創出」のための戦略としては、まず「企業誘致活動」の推進を図っていきたいと考えている。地方自治体が企業誘致事業の一環として、新聞に広告を掲載するなどの営業活動を行う時代の中で、これまでの想定の範囲を越えるレベルで企業に対する優遇策を講じていかなければ、自治体間における熾烈な過当競争を勝ち抜くことは難しいと考えている。また、安定した雇用を生み出すためには、企業誘致と平行して市内産業の活性化、とりわけミレックなどの研究機関を活用した新たな事業分野の開拓やベンチャー等の新規起業への支援が大切であると考えている。雇用対策についても、産業界との積極的な対話・情報交換を行うと共に本市に縁のある皆様に情報提供するなど広域的な活動が必要と考えている。

質問2. 市民病院について

 本市の病院事業は内科医師の集団退職や新医師臨床研修制度の影響をもろに受け、平成16年度の決算はこれまでに無い赤字決算(約10億円)となりましたが、本年度を「病院改革・再建元年」として位置付けされ、事業管理者を中心に内科医師の確保や経営改善に病院職員一丸となって努力をしていただいています。医療を取り巻く現状は厳しい中で、市民病院の今後の再建に向けた取り組みを伺う。

病院事業管理者

 昨年度の市民病院事業において、こうした決算となりましたことにつきましては、この状況を重く真摯に受け止め、再建を期して、この難局を乗り越えることが私の責務であり、何としても全うしたい決意であります。経営改善に向けた取り組みは、責任者として病院運営の機動性・柔軟性を第一に心がけ、職員にも浸透しつつあり、山積する課題の様々な障壁を乗り越える大きな力となっていくものと考えており、医療サービスの質の向上と経営の効率化に向けた様々な取り組みを推し進めているところです。再建の進め方については、近く予定をしている検討の場で、地域医療を守るという基本理念のもと、地域全体の医療提供体制、医療ニーズの動向、医療機関としての持続可能な経営のあり方といった視点も含め、議論をいただき、あるべき姿をよく見極め地域医療の一翼を担うという使命を果たしていきたい考えています。/p>

質問3. 水道事業について

 幸い、舞鶴においては、渇水による断水等はなく、職員のみなさんも24時間体制で対処されており、敬意を表するものであります。しかし、昨年の台風という災害で東地区の配水地の容量が4時間しかもたないことや、これまでから課題となっていた由良川の塩水遡上に対応する有路取水場の再整備や老朽管の更新など、今後5年間にこの問題に対応する事業実施についての財源確保が今回の水道料金改定であると理解している。
1点目は、水道施設は旧軍用施設を引き継ぎ、更新をしなければならない多くの施設があることは承知をしているが安定した給水をしていくためには、継続的な施設整備の更新が必要であり、今回値上げをしてこれで終了とはならないと思うが、今後の整備計画を伺う。2点目は、30年ぶりの料金改定であるが、なぜ30年も値上げをされなかったのか、その要因を伺う。3点目は、「個別需給給水契約」について、今回、給水条例改正のなかに、「個別需給給水契約」の条項があらたに加わっておりますが、この契約内容について伺う。4点目は、5月に設置された水道事業懇話会において、今回の料金改定について委員からはどのような意見が出されたのか伺う。5点目は、簡易水道の料金は、昭和58年に定額制から従量制に移行して21年が経過し、上水道とほぼ同額となっているが、簡易水道の料金改定についてはどのように考えているのか伺う。

水道事業管理者

 5年後の平成23年度からの整備計画は、基幹施設の上福井浄水場の管理室やポンプ室、電気室、薬注室等が老朽化し耐震性能も低いことから施設の更新を中心に整備するほか、老朽管路の更新事業も実施していきたいと考えています。次に、30年間据え置くことができた要因は、料金収入以外に未普及地域解消事業や民間開発に伴う負担金及び加入金等の収入があったこと。昭和51年以降、有路浄水場の廃止、取水・浄水施設の遠隔監視制御システムの導入や事務の電算化や上下水道料金の収納事務の一本化により、職員数20名削減するなど、経費の節減を図り、職員1人当りの営業収益は、この30年間で約2倍にすることができたことなどであります。次に、「個別需給給水契約」については、水の供給量に余裕があり、供給能力の範囲内で1ヶ月当りの使用水量が2万立方メートルを超えて使用いただく大口需要家を対象に、申請に基づき契約を結ぶものであり、大口需要家の経済活動等を活発にし、本市の経済発展を推進する企業を支援するものであります。
 懇話会委員からは、「老朽化した有路取水場のポンプ施設と導水管路の更新等、由良川水系を最優先し整備すること」「老朽化した東地区への給水のための配水地を拡充整備すること」、「水道事業は、料金収入のみで経営されており、その経営状況について市民の理解を求める努力が必要である」等々の意見があった。簡易水道の料金改定については、上水道と同じ料金体系としているが、経営規模が小さい上に、給水区域の過疎化、高齢化の進行により経営が厳しく料金収入で維持管理費がまかなえない現状であります。簡易水道のあり方については、施設の統合や管理のあり方、施設更新に伴う財源の問題等、早期に検討し適切な料金体系を構築していきたいと考えています。

質問4. 指定管理者等について

 平成16年9月に施行された「指定管理者制度」は民間企業の能力を活用し、多様化する住民ニーズに対応し効率的・効果的に施設の管理運営を実現することを目的としていることは言うまでもありません。平成18年9月までの本格的導入に向けて、各自治体がの動きが活発化しています。市内の事業者・団体にとって、新分野への展開に向けた格好の機会であり、まさに協働を考えるよい機会であります。今後、このたびの指定管理者制度導入、行政業務の民間委託を期待するものでありますが、市としてどのようにお考えなのか伺う。

市長

 平成15年12月に指定管理者の指定の手続き等について条例を制定し、本年3月には制度導入の判断基準や基本的事項などを示す「指定管理者制度導入に係る基本方針」を策定するなど、制度導入に向けた取り組みを進めてきました。また、現在管理委託制度を採用しています81施設については、法律で平成18年9月1日までに、市の直接管理か、指定管理者による管理かのいずれかにすることとなっていますので、この制度に移行するという基本方針に従い、今定例会において、そのための整備条例を審議いただくこととしています。今後は、市が直接管理しています施設についても、個々の施設を取り巻く状況の変化等をふまえつつ、サービスの向上や効率的・効果的な運営が見込まれる施設について、指定管理者制度を導入していきたいと考えています。また、市においては、従来から、学校給食調理業務や水質検査業務をはじめとして、数多くの業務を民間に委託しています。今後に於いても、「民間にできることは民間で」というスタンスに立ち、行政サービスの向上や行政コストの縮減、民間活力の導入などを図るために、引き続き、民間への業務委託を勧めていきたいと考えています。

質問5. 市内企業の事業展開について

 京都・まいづる立命館地域創造機構(ミレック)では、1つに、「北東アジア地域研究プロジェクト」、2つに、「地域産業技術情報研究プロジェクト」、3つに「地域文化環境情報研究プロジェクト」を大きな柱に研究をされ、各プロジェクトの研究成果を地域産業の振興に力を注いでいただいています。大連市が抱える水環境ビジネスの展開を始め、市内の生産物の販路開拓や中国からの投資情報など、私も初めて大連を訪問し江守市長の思いを肌で感じてきました。このほど、既存の市内企業の事業展開に向けて、中国ビジネスへの支援を始められ、相談ばかりだけでなく、海水淡水化装置や浄水器の営業について、企業はもとより立命館とミレックで大連へ売り込みに行かれたと聞いています。今後の展開を期待するところでありますが、その詳細と今後の展開について伺う。

市長

 この一年間、ミレックにおいては、中国・大連市からの団体観光や修学旅行を誘致するとともに、地元の有する技術と舞鶴高専やポリテクカレッジなど、市内の高等期間が連携した研究開発を進める中で、環境保全に関する特許を出願するなど、一定の成果をあげてきました。現在ミレックでは、舞鶴がこれまで培ってきた、ものづくり技術を駆使した製品の販路開拓や支援に取り組むと共に、友好都市として揺るぎない信頼関係を築いてきた中国・大連市との絆が経済交流の分野にも展開できることから、「中国ビジネス相談」事業を実施し、楊艶(ヤンエン)・国際交流員が対応しています。既に、10件の相談を受け、京都舞鶴港を利用した衣料品の輸入など、北東アジア地域との物流の活性化に寄与する事案もあります。海水淡水化や浄水の優れた技術を有する市内企業と共に、大連市で市場調査を行い製品の販路拡大に確かな手ごたえを感じているところです。今後とも、北東アジア地域とのネットワークを活用したミレックの取り組みが、地元企業の新たなビジネスチャンスに繋がり、地域産業の振興に寄与するよう、市としても積極的に支援していきます。

質問6. アスベストについて

 アスベスト(石綿)による被害は全国的に広がり、国において新法制定も考えられているところであります。我が国では、1955年頃から安価で断熱性に優れた素材として建設素材などを中心に使用量が増加し、70年代から90年代までは毎年20万トンから30万トンが輸入をされており、アスベストの吹き付けが禁止された75年以前の建物には使用されていると考えてよいと思います。近年では、阪神淡路大震災で壊れたビルを解体する際に、大量のアスベストが飛散し、大きな問題となったことは、まだ記憶に新しいものがあります。しかし、「静かな時限爆弾」と呼ばれるように暴露から発症までの潜伏期間が平均40年と長く、症状がわからないのが問題であると言われています。市においては全公共施設の調査が行われ、市民の相談窓口も設けられているところであります。相談窓口の状況や市の施設の調査結果、今後の対応、民間施設の調査状況など舞鶴市における全体的な状況はどのような状況となっているのか総括的に伺う。

市長

 全国的に問題となった時点で、いち早く市の公共施設493施設について、アスベストの使用状況に関する調査を行ったところです。その結果、飛散防止対策済みの吹きつけアスベスト2施設あるとともに、19施設で、アスベストを含む材料が使用されている可能性のあることが明らかとなり、それぞれの施設の状況に応じて、必要な措置を講じたところです。現在、これらの19施設の材料について分析調査を行っており、11月上旬に調査結果が明らかになる見込みです。今後、アスベストが確認された場合には、使用されている場所や立ち入りの状況を考慮し、除去や封じ込めなど飛散防止措置を講じていきます。また、民間施設の調査状況ですが、現在、府において府内の300㎡を超える社会福祉施設などや、1000㎡以上の民間施設について調査されており、このほど中間報告がされたところです。今後、現地調査が進められ、必要に応じて飛散防止対策の指導をされると伺っています。相談窓口については、本市では、8月22日に健康及び建物に関する相談窓口を設け相談に応じています。9月16日現在、健康については、その状況や検診などについて21件、建物に関しては、自宅にアスベストが使用されているかの調査や除去方法など35件の相談を受けています。今後の対応については、市としても市民の不安を解消するため、国、府と密接に連携を図りながら、適切に対応していきます。

質問7. 舞鶴の振興について

 先般、南極観測船「しらせ」と海上保安庁の「だいせん」が、共に西港に入り広く市民に公開され、舞鶴港のPRに繋がっています。一方、貿易港については、会派としても中国・大連市を視察し、和田埠頭の完成に伴う「きょうと舞鶴港の利用促進」や中国企業との取引を通じて「京都府内企業の業績向上」を目指していくためには、大連に事務所が必要であると強く感じてきたところであります。事務所の果たす役割は、京都府内の企業における中国ビジネスの展開支援や府内産業の中国向け発信、中国企業の京都への誘致活動、さらにはビジネスサポートなどの役割を果たすこととなり、利点としてオムロン、日本電産、グンゼ、ワコールなどの日本を代表する京都生まれの企業が多数進出していることから、経済的ネットワークが一挙に拡大します。また、表面化されない現地特有の情報が入手でき、今日との知名度が中国北東部まで広く波及すること。舞鶴市と大連市の揺るぎない友好都市関係を存分に利用できます。帰国後、直ちに京都府庁におもむき、その熱い思いを創政クラブ議員団として山田知事に大連事務所の設置を強く要望してきたところであります。今後、「きょうと舞鶴港」が貿易港として一層の振興を図るためには、今こそ、港湾振興のさらなる進展のために、ハードとソフトを有機的に一体化し、より一層の推進することが必要と考えますが、市としての考え方、京都府への働きかけの状況を伺う。

市長

 創政クラブ議員団の皆様には、去る7月に大連市を視察いただき、その成果を踏まえて、帰国後京都府知事に面会され、会派として京都府大連事務所の開設を強く要望されてきたところであります。京都舞鶴港の発展を願う熱意とそのご高配に対し、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。港の整備は本市発展のための最重要課題の一つであり、議員仰せのように、港湾の施設設備や機能充実を図ると共に、ロシア・中国。韓国などの北東アジア地域と関西経済圏とを結ぶ物流の中継港としての発展を目指し、ハード面・ソフト面をが一体となった京都舞鶴港の振興を図っています。具体的には、ハード事業としては(仮称)和田埠頭や臨港道路の早期完成や前島歩道橋・浜緑地など魅力あるウオーターフロントの整備を、また、ソフト事業としては、舞鶴港振興会や株式会社舞鶴21を中心に官民一体となって、商社やメーカーに対し、積極的なポートセールスを展開するほか、国内外において貿易セミナーを開催するなど、鋭意取り組んでいます。また、7月には市議会・商工会議所・行政の3者により、京都府知事に対し、京都舞鶴港の整備促進と振興について提言活動を行い、前向きで積極的な回答を頂いたところであります。今後とも、国や京都府、市議会と商工会議所とも一体となり、京都舞鶴港の早期整備・振興について、全力で努めていきます。

質問8. 東駅周辺整備について

 東駅周辺では、仮換地された新しい区画に、新しい家々が整然と立ち並び、また、連日のように新築工事があちこちで行われています。事業区画内の道路につきましても、和泉通線や八雲通線、森本町溝尻線が概ね完成し、益々便利で、安心、安全で快適なまちづrくりを進めていただいております。経済面からも本市に及ぼす効果は多大なもがあったとお聞きをしています。こうしたことを考え、「土地区画整理事業」が進み、大詰めをむかえた事を実感しています。この壮大な事業に、懸命に取り区でこられた江守市長さんを始め関係者の皆さんや、事業に協力されてこられた関係者の皆さんに、改めて敬意を表します。しかしながら、まだ移転が必要な家屋が残っており、道路も暫定的な供用となっている個所もあるように見受けいたしています。この事業の見通しと工事完了の事務手続きを伺う。

市長

 市街地の活性化と快適で安全なまちづくりのため、昭和53年3月の「東舞鶴駅周辺整備構想検討委員会」設置以来、21.5ヘクタールの区域において、422戸の建物移転、6,133mの道路整備等に取り組んできました、関係権利者、市議会の協力と、国及び府の理解の賜物であり、感謝申し上げます。現在の進捗状況は、9月上旬に地権者のご協力によりまして全ての建物調査が終了し、移転補償契約が今月中に締結できる見込みとなりましたが、この建物移転にはなお日数を要しますことから、道路築造の完了に向け、更に努めていきます。また、今後は換地処分、土地建物の登記等の事務手続きに取り組んでいきます。

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